日本写真俳句大賞2022

第1回の日本写真俳句大賞2022にたくさんの方からご応募いただきありがとうございました。全国からの984作品のご応募をいただきました。

本当にありがとうございました。たくさんのご応募の中から、見事入選なされた18作品、その中から優秀賞2作品、最優秀賞1作品を発表いたします。

最優秀賞の方には、賞品として、図書券3万円分、優秀賞の方には、図書館の3千円分を贈らせていただきます。また、副賞として、入賞全員に日本写真俳句大賞2022特製記念フォトブックを贈らせていただきます。

最優秀賞

冬林檎さびしき人のよく笑う

水野かなる

(評)

とても目を引く写真が印象的である。陽の当たっている林檎それぞれには、忍耐と節目があり、それが水脈のように通じ合っている。人もまた同じように個々の人生を生きている。

森村誠一

優秀賞

海道を歩き疲れて夏の色

柘植 雅一

(評)

全体の青色の中にある廃バスの黄色が夏を感じさせる色として効いている。四角く切り取った写真の構図もよく計算されている。海と空、日差しを「夏の色」と詠んだ感性を大切にしてもらいたい。

森村誠一


優秀賞

選ぶとは他を捨てること明易し

川越羽流

(評)

夏の夜の明けが早いことが、作者の何かの覚悟を促したのであろうか。遠方へ行く余裕も時間もない者でも、風が運んでくる香りには、異次元からの誘惑があるようである。

森村誠一

総評

今回のコンテストの入選作品には特に粒選りが出揃った。写真と俳句を分離しても、それぞれ独立した作品として通用するであろう。この両者を合体することによって写真俳句として窯変(ようへん)する。一種の化学変化である。

写生、人生、動・植物、昆虫、恋愛、自然、志、祈りなどをテーマに、ユーモア、諧謔、哀感、願望などを絶妙に織り込み、写真俳句の本領を遺憾なく発揮している。窯変の完成度が極めて高くなっている。写真俳句を実地に愉しみながら熟達しているしるしである。写真俳句が文芸の中に確実に地歩を築いている。

森村誠一

選者の声

斎藤牧子

「写真俳句」と「写真と俳句」は似ているようで違います。写真俳句は決して、俳句で写真を補うものでも俳句を写真で飾るものでもありません。写真と俳句を合わせてどういう世界を作るのか。それが写真俳句です。入賞された方にはそれを理解されていて、その写真俳句の世界を鮮やかに、そして存分に見せてくれました。これからも皆さんがどのような世界を、五七五と一枚の写真で表現されていくのか。それを楽しみにしています。

本郷恵理

写真俳句は自由な発想で作っていただく作品です。今回の応募作品は日常の一コマから技巧に富んだ写真まで、まさに様々な写真が使われており、楽しく拝見しました。写真俳句から広がる世界は無限で、このコロナ禍にあっても私たちの心はどこまでも旅することができるのだなと改めて認識しました。写真俳句の作り方に迷ったり、確認したりしたいときは、『よくわかる「写真俳句」』を参考にしていただき、ぜひこれからもぜひ写真俳句作りを続けていただけたらと思います。

メイツ出版

写真と俳句の組み合わせが作る世界の多様さに驚きました。鮮やかな色や構図で説得力を持たせた作品から、言葉の重みを静かにひしひしと伝えてくる作品まで幅広く、そうした作品たちの中から限られたものを選ぶのに苦労しました。言葉と写真との間にはどんなつながりがあるのか。はたまた、詠み人はこの情景からなぜこの言葉をすくい上げたのか。じっくりと想像するのが楽しかったです。

入選作

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